越境ECとは?全世界の市場規模とその可能性を探る

ECコラム

はじめに

こんにちは。コンサルタントの齋藤です。
21世紀、電子商取引(EC)の時代に我々は生きています。さまざまな商品やサービスが、地球のどの場所にいても手軽に購入できるようになりました。この背景には、インターネットとスマートデバイスの普及が大いに関係しています。中でも注目すべきは、異なる国や地域間で行われる「越境EC」です。
越境ECとは、異なる国や地域間でのオンライン商取引のことを指します。越境ECを利用することで、企業は自国の市場だけでなく、海外市場にもビジネスを展開することが可能になります。
しかし、何となく耳にはするけど、実際のところどの程度の市場規模があるのか、どのようなメリットやデメリットがあるのか、明確に理解できていない人も多いのではないでしょうか。本記事では、越境ECの全世界の市場規模とその可能性について詳しく解説します。

全世界のEC市場規模


2023年の現在、全世界のEC市場規模の拡大は止まることを知らず、その勢いはますます加速しています。この成長の波は、テクノロジーの進歩が手助けとなり、物理的な場所に縛られず、いつでもどこでも買い物が可能な環境を創出した結果です。このデジタル化の進展により、私たちの買い物スタイルは大きく変化し、時間や場所の制約が大きく緩和されました。この進歩は、EC市場規模の著しい拡大を牽引する主要な要素となっています。
さらに新型コロナウイルスの影響による在宅時間の増加は、ECの利便性と安全性を一層際立たせ、オンラインでの購入が一般化する大きな契機となりました。また、新興国での中産階級の台頭やインターネット接続率の向上も、EC市場の拡大を後押ししています。
経済産業省の調査によると、2021年の全世界のBtoC-EC市場規模は、なんと4.92兆USドルに達し、EC化率は19.6%と推計されています。新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、ECへの需要を一気に加速させ、市場規模やEC化率の急速な増加を引き起こしました。この流れは止まることなく、2025年までには市場規模が7.39兆USドル、EC化率が24.5%にまで上昇すると予想されています。
このように、全世界のEC市場は盛んに成長を続けており、ますます多くの企業がECを活用したビジネス展開を進めています。

全世界の越境EC市場規模

そして、この巨大なEC市場の中でも特に注目されているのが、越境ECです。
2019年の世界の越境EC市場規模は7,800億USドルと推計され、その値は2026年には4兆8,200億USドルにまで拡大すると予測されています。その間の年平均成長率は約30%であり、世界のBtoC-EC市場規模の拡大を上回るペースで越境ECの市場規模は拡大すると見られています。

これほどの市場成長が見込まれる背景として、消費者の視点から見てみると、越境ECの認知度が高まりつつあり、自国では手に入らないような商品への欲求、自国よりも安く商品を手に入れることが可能な点、そして商品やメーカーへの信頼性が挙げられます。
また、事業者の視点からも越境ECは大きな機会を提供しています。それは何と言っても、消費者ターゲットを自国だけに留めず、世界規模に拡大することが可能な点です。このような事業者の前向きな姿勢が越境ECの普及を後押ししています。
さらに物流レベルの進歩もまた、越境ECの促進要因となっています。配送スピードの向上や、国境を越えた配送が容易になるといった物流の進化は、越境ECの普及に大きく寄与していると言えるでしょう。

国別の越境EC市場

2020年における各国の総小売EC購入額、越境ECの購入額、そして越境ECが総購入額に占める割合についてeMarketer、Statistaの調査結果を見てみましょう。

例えば、アメリカのEC市場は約7950億ドルであり、そのうち2701億ドルが越境ECによる購入で、総購入額の34%を占めています。これは、アメリカ市場が越境ECの観点から見ても大きな可能性を秘めていることを示しています。
一方、中国のEC市場は約2兆2970億ドルと他国と比較して圧倒的な規模となっておりますが、越境ECによる購入は340億ドルしかありません。(ただし、中国の消費者行動のデータは入手が困難であり、信頼性に欠ける場合も多いため、注意が必要です。)
また、下記は各国の越境ECの購入総額と、それぞれ上位 2 つの購入元の国の割合を示した表です。こちらをみると、どの国でも中国からの購入割合が30%を超えていることが分かります。
残念なことに日本からの購入が上位2位までに入っているのは中国のみとなっており、言い換えれば日本企業は越境ECを拡大できる余地がまだ多いに残されているとも言えるでしょう。

さらに、これから越境ECを考える際には、フロンティア(新興)市場にも目を向ける価値があります。これらの国々は経済の成長が見込まれ、新しい消費者層が急速に成長しています。特に、モバイルやインターネット接続の普及により、これらの市場でのECの利用は今後さらに増えると予想されます。

まとめ

この記事を通じて、21世紀はまさしく電子商取引(EC)の時代であり、その一角を占める越境ECの成長と可能性を詳しく探りました。
世界で越境ECが拡大する中、日本企業では越境ECの活用がまだまだ進んでおらず、今後の越境EC市場は非常に大きな可能性を秘めていると言えるでしょう。ECを活用したビジネス展開を進めている企業は、越境ECの更なる活用と、フロンティア市場への進出を検討することを推奨します。これらの動きにより、より広範囲でのビジネス展開が可能となり、企業にとって新たな成長の機会を創出することが出来るのではないでしょうか。

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