働きながら世界を旅する<#3アルゼンチン編>

当社は1999年の創業以来、場所や時間、生活環境に縛られることなく、社員一人ひとりが最大限の能力を発揮できるよう取り組んでいます。
フルフレックスやフルリモートの実施、育児・介護との両立支援、さらに近年では国内外でのノマドワークなど、多様な働き方を社員とともに実現しています。社員が仕事と生活の両方を充実させることで、お互いによい影響を与え合い、組織全体の生産性と業務品質の向上に貢献しています。

この連載では、社員が自分らしい働き方を模索し、実践している様子をお伝えします。

はじめに

こんにちは。イーライフシンガポールオフィス所属のグローバルコンサルタント 坂元です。
私は昨年から念願のノマドワークを始めていて、月に2~3カ国を訪問し、その地での生活を体験しながら仕事をしています。
本ブログでは、私の海外ノマドワークの体験を通じて、仕事とプライベートのバランスを取る方法や、訪問した国々の文化、地元の人々との交流について連載していきます。

ブラジルからアルゼンチンへの移動

朝はブラジルでお気に入りの料理「フェジョアーダ」を楽しんだあと、フライトの6時間前には空港に到着し、空港での待ち時間4時間を利用して仕事を進めました。また、搭乗手続きやセキュリティチェックなどに必要な2時間も計画に組み込み、効率的な時間管理を行いました。ノマドワーカーにとっては空港での待ち時間を有効に使うことは、飛行機の中で睡眠を取ること同様欠かせないルーティンです。

アルゼンチン共和国について

前回のブラジル訪問に続き、今回は南米に位置するアルゼンチン共和国を訪れました。

アルゼンチンは日本の約7.5倍の面積を持ち、人口は約4,623万人です(2022年時点、世銀統計より)。サッカーやタンゴで有名なアルゼンチンは、都市部の歴史ある街並みや豊かな料理、そして高品質なワインを楽しむことができる観光地とも知られています。今回は、5月初旬~中旬までのおよそ1週間滞在していた、アルゼンチンでのノマドワーク体験をお届けします。

アルゼンチンの首都ブエノスアイレスにある最も重要な歴史的建造物のひとつ「カビルド」(右端)とその周辺の風景

ガウチョとの交流:アルゼンチンの伝統に触れて

ブエノスアイレスに到着後、車で北西へ2~3時間ほどかけ、小さな町サン・アントニオ・デ・アレコを訪れました。私は都市部から離れる際にはできるだけ小さな町を探索することにしています。小さな町では観光客も少なく、その国本来の文化を体験できるためです。

サン・アントニオ・デ・アレコの街並み

本物のガウチョに会うために牧場へ向かいました。ガウチョとは、アルゼンチンやブラジル、ウルグアイの草原で牛を追う牧童(カウボーイ)たちの呼び名です。アルゼンチンにおいて、ガウチョは単なる牧童という存在に留まらず、かつて国の独立に貢献した英雄的な存在から、国のシンボルとして慕われています。

牧場付近に到着後は、ジープで移動しました。整備された道路がないため、バスやタクシーでは移動できません。道中はかなり揺れましたが、天気が良かったので開放的な気分を味わえました。

ガウチョたちが振る舞ってくれたアサード(Asado)は、肉の塊を炭火でじっくりと焼くアルゼンチンの伝統的なバーベキュー料理です。“Asado”はスペイン語で「焼く」という意味で、料理の名前でもあります。ガウチョたちは地面に穴を掘り、焼いた石と牛一頭を入れ、土で蓋をして蒸し焼きにする方法で調理していました。これがアサードの始まりと言われています。

アルゼンチンの人たちはこの伝統料理をとても大切にしていて、誕生日やお祝い事にはもちろん、毎週日曜日には家族や大切な友だちと一緒にアサードパーティーをする習慣があります。

牧場では乗馬を楽しんだり、伝統的な歌を聞いたりしました。ガウチョの生活や文化に触れることができ、大変有意義な時間を過ごすことができました。アルゼンチンはスペイン語が公用語のため、会話には翻訳アプリを使用しました。翻訳アプリは旅行はもちろん、仕事においても必須アイテムですね。


ブエノスアイレス散策:南米のパリ

ブエノスアイレスは「南米のパリ」と言われている街で、歩くだけでいつもと違う気分を味わえました。南米のパリと呼ばれるようになった理由は色々な説があります。

一つはヨーロッパの移民が多かった影響が街並みに色濃く反映されていることです。もう一つは当時のアルゼンチン政府や富裕層などの権力者がヨーロッパのパリに憧れていて、似せて造られていったということが挙げられます。ヨーロッパを彷彿とさせるクラッシックな建物や街並みは、まさに「南米のパリ」と呼ばれる雰囲気そのものでした。

シックで落ち着いた雰囲気が魅力的なブエノスアイレスですが、その一角にあるポップでカラフルな建物が並ぶラ・ボカ地区の「エル・カミニート」にも立ち寄りました。おしゃれなカフェやレストランが多く、ストリートミュージシャンの歌声が響き渡っていました。また、タンゴダンサーが踊る光景を目にして、さすがアルゼンチンはタンゴの国だと実感しました。

アルゼンチンで見つけた絶品グルメ:チョリパン

今回は英語を話せるデータサイエンティストと一緒に昼食を楽しみ、その後アルゼンチンの様々な魅力を紹介してもらいました。その際に食べた「チョリパン」は私がアルゼンチンで最も気に入った料理となりました。

カリッと焼いたパンに肉汁が溢れるチョリソーを挟んで、鮮やかな緑色のパセリと、爽やかな酸味、青唐辛子のピリッとした辛味が特徴な「チミチュリソース」をかけたアルゼンチンのソウルフードです。ヨーロッパやタイ、アメリカなどさまざまな国でソーセージ料理を食べましたが、私の中で1、2位を争うほど美味しかったです。


アルゼンチンの夜:タンゴバーでのひととき

夜は地元の人たちが集まるタンゴバーを訪れました。タンゴは1870~1880年頃、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで生まれて、 当時、船乗りや労働者、貧しい移民たちが集まる場末の酒場で、フラストレーションのはけ口として踊ったのがタンゴの始まりと言われています。

このタンゴバーはミロンガとも言われています(ミロンガという音楽の種類もあります)。タンゴバーでは一人で来ても、カップルや友だちと来ても、ワインを楽しみながら、知っている人も知らない人も一緒に踊ることができます。本来、タンゴは男性がリードする踊りですが、私はタンゴを踊ったことがないため、リードされることが多かったように感じました。

また、アルゼンチンはワインが有名な国でもあるので、このタンゴバーでも様々な地元のワインを楽しめます。タンゴのリズムに身を任せながら、豊かなワインの味わいを堪能するひとときは、アルゼンチン文化の魅力を存分に感じさせてくれました。

ノマドワークの工夫

アルゼンチンも、前回訪問したブラジル同様に、日本との時差が約12時間あります。そのため、日本にいるチームメンバーと連絡を取る時間を事前に確保し、その中で効率的に複数の打ち合わせを行うように工夫しました。

アルゼンチン滞在中は、朝3時から4時頃に起床し、飛行機やバス、タクシーでの移動中にも仕事をこなしました。その分、夕方早めに業務を終えられるため、観光も楽しむことができました。

私は日本やシンガポールで生活していた時から、海外の企業との打ち合わせを行っていたため、時差がある中での業務に慣れており、それを苦に感じることはありません。しかし、時差が大きい海外企業との打ち合わせは、できるだけ日程を集中させて効率的に行うようにしています。

このように、海外ノマドワークは、時差を考慮した効率的な時間管理が鍵となります。早朝からの業務開始や移動時間の活用など、さまざまな工夫を凝らすことで、仕事と観光の両立が可能となります。

アルゼンチンのビジネスインサイト

南米のアルゼンチンでは、2023年8月の消費者物価が前の年と比べ2.2倍に上昇し、約32年ぶりの記録的なインフレが経済に深刻な影響を与えているようです。現在の年間インフレ率は140%を超えていて、銀行からローンを受けることも難しい状況のようです。高価格帯の商品を販売する際には、消費者の所得を考慮した上での戦略が必要だと感じました。

私も滞在中は、急激な物価上昇の影響を避けるため、主に米ドルで食べ物などを購入していました。米ドルを使用することで、価値の安定性が保たれ、インフレの影響を最小限に抑えられたと思います。

また、前回訪れたブラジル同様、アルゼンチンでも低価格帯の日本製品はあまり見かけなかったため、この分野での市場参入のチャンスがあるかもしれません。

次なる国はウズベキスタン!

綺麗な街並みを堪能しながら仕事と生活を両立させる経験は、今回も私にとってかけがえのないものとなりました。次の国へ向かう日は、その国で一番好きになった料理を楽しんでから空港へ向かうのが私の習慣です。アルゼンチンを発つ日も例外ではなく、一番好きだったチョリパンを楽しんでから早めに空港に着き、仕事をしながら飛行機を待ちました。

次に訪れるウズベキスタンでは、アルゼンチンとは全く違う世界が待っているかもしれないと思うとワクワクします。ウズベキスタンでのノマドワークの様子は、次回のブログで詳しくご紹介しますのでお楽しみに!

イーライフシンガポールオフィス所属 グローバルコンサルタント 坂元