コミュニティ運用担当者のナレッジ共有を目的とした「オフサイトミーティング2023春-2」を開催
開催の経緯
こんにちは。イーライフ広報担当の三浦です。
弊社では先日2日間にわたり、「オフサイトミーティング2023春」をオンライン開催いたしました。このミーティングは、コミュニティ運営やユーザーコミュニケーション施策における企業間の情報交換、あるいはナレッジ共有を目的として、コミュニティ運営ご担当者の方々をお招きして定期的に実施しています。
2日目は「オフサイトミーティング2023春-2」と銘打って、4社4名のご担当者にご参加いただきました。
【参加企業一覧】 サントリー株式会社様 / サントリー・マーケティング・コマース株式会社様 / 株式会社トウ・アドキユーピー様 / 日本航空株式会社様 ※50音順、以下文中は敬称略 |
両日とも司会進行役は弊社アドバイザーの水野慎也氏です。前職のカゴメ株式会社にてデジタル・マーケティングに携わり、広告宣伝部門ではコミュニティサイト『&KAGOME(アンドカゴメ)』における”なかのひと”として運営していた実績があり、企業コミュニティ運営の第一人者として活躍されています。
水野慎也(みずのしんや) 株式会社アイ・ティ・アール シニアアナリスト / 合同会社ミッケテック 代表 カゴメ株式会社にて、情報システム部門、広告宣伝部門に在籍。サプライチェーンマネジメントをはじめとした情報システム構築他、Webサイト・SNSを活用したデジタルマーケティングを推進。また、広告宣伝部門ではコミュニティサイト「&KAGOME(アンドカゴメ)」を”なかのひと”として運営。現在、株式会社アイ・ティ・アールにてIT市場のリサーチに携わる他、企業コミュニティを中心とした顧客エンゲージメントに関する執筆活動と企業へのコンサルティングを行う。WebマガジンMarkeZineにおいて『Withコロナ時代、一歩先行くコミュニティの共創最前線』を連載中。『未来ビジネス図解最新デジタルマーケティンク゛』(エムディエヌコーポレーション)の著者。 |
2日目もディスカッションテーマは2つ、「成功事例の共有とその要因」と「アンバサダー制度の運用」です。1日目と同様、後者はあらかじめ用意されていたテーマから派生して生まれたテーマですが、1日目とはまた違った角度からの議論が交わされました。
※1日目に開催した「オフサイトミーティング2023春-1」もご覧ください。
Theme1.-成功事例の共有とその要因
コミュニティにおける施策は、企業によってさまざまです。会員に喜んでもらえた、反響が大きかった、あるいは商品の売上に貢献したなど多くの施策があるでしょう。そこで、各ご担当者に自社の成功事例とその要因について紹介してもらいました。それを受けて、他の企業様から感想や意見、質問を述べてもらい、ディスカッションへとつなげていきました。
●サントリーコミュニティサイト「こだわり酒場ファン倶楽部」の成功事例
【施策概要】
新商品発売のタイミングに合わせたコメント投稿キャンペーンを実施
【内容】
新商品「樽香るレモンサワー」を購入し、飲んだ感想などをコミュニティへコメント投稿することで応募完了、というシンプルなキャンペーンを行いました。元々「こだわり酒場のレモンサワー」は、他の缶チューハイと比べると購買層の年齢が上で、SNS投稿が活発ではなかったのですが、新商品発売時なら幅広い層への波及効果が期待できると考え、実施に至りました。
【結果】
コメント投稿だけでなく、飲んでいるときの様子の写真も一緒に投稿してくださる方が多く新商品の消費者インサイトを集めることができました。また、コミュニティに投稿した写真をSNSでもアップする方も多くいらっしゃり、会員のみなさんで新商品を広めていく嬉しい事例となりました。
A社: 会員が新商品によい反応を示すのは弊社でも事例があるので、非常に共感できました。
★サントリー様が「アンバサダーの方からも写真の投稿があった」という話から、1日目と同様にアンバサダー制度についての議論が盛り上がりました。その様子は、Theme2.-アンバサダー制度の運用をご覧ください。
●トウ・アドキユーピーコミュニティサイト「おはなしダイニング」の成功事例
【施策概要】
新商品のモニターキャンペーンを実施
【内容】
普段はあまり商品を前面に出さないコミュニティなのですが、フランスの田舎風サラダをモチーフにした「ペイザンヌサラダドレッシング」の発売に合わせて、モニターを募集しました。
【結果】
あまり見かけないタイプのドレッシング、ということで興味関心を持たれた方が非常に多く、過去にアクションが少ない会員からも投稿がありました。さらに、多くの新規会員の獲得にも成功しました。
A社: どうしても自社の商品を前面に押し出したいという思いが先行してしまい、やりすぎたと反省することがあります。この企画はメニューや料理にフォーカスして、その後で商品であるドレッシングを使って彩りましょうという流れになっているのがいいですね。商品が会員の意識に自然に入ってくると思います。
B社: サラダをベースにして、気づいたらキユーピーさんのドレッシングがそばに寄り添ってくれる、みたいな日常をイメージできます。そのイメージを会員のみなさんももつことで購買につながったり、『このドレッシング美味しいね』という自発的な発信に繋がったりしていったのですね。
●日本航空コミュニティサイト「trico」の成功事例
【施策概要】
日本に数多くある半島の魅力をPR
【内容】
地方自治体や国交省から要請を受けて、日本に数多くある半島のPRを展開することになりました。そこで、社内公募で選ばれた客室乗務員「JALふるさと応援隊」が実際にその地を訪れ、地域の魅力を語り合う記事をコミュニティで連載しました。半島のパワースポット寺院や昭和の街並み、道の駅などの見どころや、記事で紹介した半島の特産品が買える特設サイト「HANTO DELICIOUS」を紹介しました。また、「JALふるさと応援隊」と半島のトマト農家、会員が、地元のトマトを使ったレシピを考えるというイベントも企画しました。
さらに、tricoで記事を公開するたびにSNSでも告知をして、より幅広い層へ情報発信しています。
【結果】
tricoをハブとして色々な発信ができました。前述のイベントに参加した会員が、自身が「体験した声」として、コミュニテイに写真などを投稿してくださり、UGCが活発化しました。自治体との連携強化、さらに地域活性化にも繋がっていると感じています。
A社: 弊社でもUGCの活用に力を入れていきたいと考えています。せっかくの企業コミュニティなのに一方的な発信だけではもったいないですよね。JALさんはSNSとの連携がうまいので学びたいです。
B社: コミュニティに投稿されたものを引用してJALさんのSNSで紹介されるなど、会員の声をSNSに掲載して次のアクションに繋げていく取り組みが素敵だと感じました。紹介された会員は喜び、企業も有益な発信ができて、双方にメリットがありますね。
Theme2.-アンバサダー制度の運用
選ばれた会員が企業や商品の魅力を伝えてくれるアンバサダー。コミュニティを牽引してくれる頼もしい存在ですが、その影響力の大きさを考えると、制度設計には慎重さが求められます。
1日目の参加者からは「負担にならない投稿頻度をお願いする」「熱量の高い人を選ぶ」といった運用のコツが紹介されました。2日目にご参加のみなさんは「アンバサダーの任期」についての話が中心となりました。
A社: 弊社では長年アンバサダー施策を行っているため、かなり多くの人数がいますが3ヶ月に1回はINとOUTの管理をしています。
まったく活動がない方がアンバサダーのマークを付けているのは、他の会員から見てあまり良いものではありません。また望ましくない投稿をされる方も、アンバサダにふさわしくありません。
アンバサダーになっても、条件によってはを解除される可能性があることを示しておくのは大事だと思います。B社: 弊社では商品の告知・拡散活動を積極的にやってくださる方に公式のアンバサダー資格をつけています。その方はアイコンに特別なマークが付くので、他の会員からも一目瞭然でアンバサダーだとわかります。これもモチベーションにつながっていると考えています。
投稿回数のような活動基準は設けていていませんが、任期を定めています。アンバサダーの方も常に同じ熱量でやり続けることは難しいと思いますし状況は変化していくと思うので、任期を定めておくことが有効だと考えています。
最後にコミュニティ運営上の悩みの一つとして、コミュニティ会員の年齢層について話題になりました。
A社: 現在40代以上の方が多いので、うまく若者を取り入れたいと思っています。
この問いかけに水野氏は以下のように述べました。
水野氏: 1日目も同じような話題が出ましたが、ある参加者は「無理にやらない」と話していました。
実は私も同じ考えで、その年齢層の方々が一番使いやすいチャネル(コミュニティやSNS)でコミュニケーションを取るのがいいと考えるからです。これが正解というわけではありませんが、そのチャネルでそれぞれの人が濃いコミュニケーションを取ることがよいと思います。
参加者の声
今回の参加者から寄せられた感想の一部をご紹介します。
「具体的な課題を抱えて参加されたご担当者がその悩みを吐露すると、他の参加者が自社を例に出しながら、解決法を探し合うやりとりが印象的でした。」
「いろいろな企業様のお話を聞けて、非常に参考になりました。実は私自身もアンバサダーの経験があり、自分の投稿が他の人の目に留まって『いいね』をもらえると、モチベーションに繋がった経験があります。企業コミュニティとってアンバサダー施策は良いマーケティングなのだと改めて感じました」
「どうしても自社の商品の売り込みをしてしまいがちですが、会員みなさんの日々の生活や日常を陰から支えるという立場で打ち出していった方が受け止めてもらえるのではないかと、少し反省するとともに勉強になりました」
「コミュニティで企業の宣伝色をどこまで出していいか躊躇していました。しかし、みなさんに教えてもらった通り、編集部のアカウントを使う手もあるんですね。会員の反応はわからないですが、まずはやってみるのも面白いと思いました」
主催者後記-オフサイトミーティング2023春-2の振り返り-
2日間にわたるオフサイトミーティングがあっという間に終了しました。
企業コミュニティの運営に携わる担当者同士だからこそ共感できる部分、悩みに対して違う角度から気づきを与えられる部分があるものです。
今回のレポートでは紹介しきれませんでしたが、「SDGsをコミュニティでどのようにメッセージを発信するするか」など参加者の間で濃密な会話が続きました。今回のオフサイトミーティングによって、参加されたみなさんにコミュニティ活性化のヒントをお持ち帰りいただけたと思います。
弊社では今後も、今回のような会をはじめ、様々な企画や情報発信を行ってまいります。
他企業様とディスカッションしてみたいテーマのご希望などがあれば、お気軽に担当者へお声がけください!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
■関連情報 参加企業プロジェクト一覧
こだわり酒場ファン倶楽部(サントリー株式会社・サントリー・マーケティング・コマース株式会社)
おはなしダイニング(株式会社トウ・アドキユーピー)
trico(日本航空株式会社)