ファンコミュニティ運用担当者のナレッジ共有を目的とした「オフサイトミーティング#4」を開催

開催の経緯

2021年11月15日、イーライフでは「オフサイトミーティング#3-1」をオンライン開催いたしました。このミーティングは、ファンコミュニティサイト運営におけるいくつかの課題をテーマに、企業コミュニティ運営ご担当者の方々をお招きして定期的に実施しております。コミュニティ運営やユーザーコミュニケーション施策を担当されている企業間の情報交換、あるいはナレッジ共有によって新たな気づきを得ていただきたいと考え、今回は7社7名のご担当者にご参加いただきました。

【参加企業一覧】
味の素冷凍食品株式会社様、エスビー食品株式会社様、コープデリ生活協同組合連合会様、サントリースピリッツ株式会社様、サントリーマーケティング&コマース株式会社様、西川株式会社様、ロート製薬株式会社様 ※50音順、以下文中は敬称略  (当日はできる限り闊達な議論ができるように人数制限を設けた抽選制とさせていただき、当日は検討中の企業様も含めて上記7社から7名の企業担当者に参加いただきました)

司会進行役は株式会社アイ・ティ・アール シニアアナリストの水野慎也氏です。水野氏はカゴメ株式会社にてデジタル・マーケティングに携わり、広告宣伝部門ではファンコミュニティサイト『&KAGOME(アンドカゴメ)』における”なかのひと”として運営しておりました。

水野慎也(みずのしんや)
株式会社アイ・ティ・アール シニアアナリスト / 合同会社ミッケテック 代表

カゴメ株式会社にて、情報システム部門、広告宣伝部門に在籍。サプライチェーンマネジメントをはじめとした情報システム構築他、Webサイト・SNSを活用したデジタルマーケティングを推進した。また、広告宣伝部門ではファンコミュニティサイト&KAGOME(アンドカゴメ)を”なかのひと”として運営した。現在、株式会社アイ・ティ・アールにてIT市場のリサーチに携わる他、企業コミュニティと中心とした顧客エンゲージメントに関する執筆活動と企業へのコンサルティングを行う。

今回のディスカッションテーマは大きく2つです。「オンラインにおけるファンコミュニケーションの活性化」「インナーマーケティングによる社内周知」。どちらもコミュニティサイトの運営において欠かせない重要な要素です。盛り上がったディスカッションは、新しいテーマも生み出しています。同じ立場・課題を抱く方々の参考になるように、当日の様子と内容を抜粋・要約してお届けいたします。3回目と同様のテーマではありますが、参加者が違うとどのように変わるのでしょうか?ぜひ比較しながらお楽しみください。

Theme1.-オンラインにおけるファンコミュニケーションの活性化

Q:コミュニティサイトにおいてファンコミュニケーションをいかにして盛り上げるのかは永遠のテーマだと思います。ましてや、長らくオフラインのイベントは開催できない期間が続き、皆さんは制限のある中で、いろいろな施策や工夫をされてきたはずです。そのテーマから話していただきたいと思います。オンラインとリアルの融合であるとか、SNSを巻き込んだアクションであるとか、サイトの活性化のために、どのように取り組まれてきましたか?

A1: ユーザーから川柳を募集する企画を実施した。「毛布の思い出」をテーマに、川柳を募集して、大賞になった作品をツイッターで紹介した。全国の店舗とも連携し、ショップの店内で川柳をPOPとして掲示していた。

A2: 応募した会員に商品サンプルを届け、試してもらって、コメントを書いてもらった。それらの声をチラシの紙面に掲載した。ただサンプルを試すだけではなくて、商品の宣伝の役に立ったり、自分のコメントが載る楽しさや、他の人にもっと良さを伝えられた喜びなど多様なベネフィットを感じてもらっている。

A3: SNSはツイッター、インスタグラム、TikTokの3つを手がけている。それぞれの媒体特性があるので、特性に合わせた投げかけをしている。ユーザー同士のコメントが一番生まれやすいのは、TikTokだという印象がある。写真投稿であっても、“映え”や人目を気にした写真ではなく、リアルな生活そのものの写真がアップされている。飾らない投稿ができることが面白いのかもしれない。

川柳の企画は他社でも実施していて、とても好評を博しています。企業が、一方的になにかを発信するよりも、双方向で、ユーザーが能動的に入ってくる、というスタイルがコミュニティとしては必要です。ユーザーが自発的に声をあげて盛り上がってくれることが一番望ましい。その意味で、皆さんのサイトは効果的なアクションをされていました。コメントをPOPとして使ったり、投稿された生活感のある写真であったり、サイト内の活性化につながっています。UGCが活発に生成され、拡散していけば、コミュニティの価値は上がります。

Theme2. -インナーマーケティングによる社内周知

社内的に協力を得たり、一緒に何かをやったり、あるいはトップへ報告したり、効果を算定したりと、社内へのインナーマーケティング、あるいは社内周知に関しては共通の課題ではないでしょうか。同じ立場の皆さんで、どのような工夫をされているのかをお互いに聞けたら有意義だと思います。

Q:コミュニティサイトの価値を社内に浸透させるために、どのように努力をされていますか?

A1: コミュニティサイトのみではなく、いろいろな連携が大事だと思っている。コーポレートサイトと、公式のSNS、インスタグラム、ツイッター、フェイスブックとすべてを網羅し、コミュニティサイトと全て連携できるような体制を整えている。コミュニティサイト単体だけではなくて、SNS、コーポレートサイトなどさまざまなところと連携することによって、よりコミュニティサイトの価値を、社内的に認めてもらえると考えている。

A2: 社内的な評価が良かった取り組みは、コミュニティサイト内のコラムだった。今年の秋、メディア向けに新製品の発表会を行った際、開発者が登壇して、製品の開発秘話を披露した。それらのエピソードはニュースになっても、なかなか一般のお客様に触れて頂くところには届いていないと感じた。そこで、開発者の話を、1~2分で読める小さなコラムにまとめてコミュニティ内で発信したところ、お客様から応援メッセージや、「すごい嬉しい商品だ」という声が寄せられた。だから、お客様に届けるコンテンツ記事の中で開発秘話を入れている。開発の担当者に登場してもらって、どういう想いで、この商品を作っているのか、を話してもらい、記事化している。社内の別の部署の人に出てもらうことで協力を得ている。そして、記事の中にアンケートを仕込んでおき、開発の人たちが知りたい情報をフィードバックもする。そういう循環を作っていくことで、コミュニティサイトの認知度を社内的にも高めている。

議論が進むうちに、新しいテーマが出てきました。それはコミュニティサイトに登録してもらうユーザーに対して「質を求めるのか。数を求めるのか」という課題です。良質なユーザーのみを厳選しようとすれば、数は制限されます。とはいえ、やみくもに登録者数だけを追っても、サイトが活性化するとはかぎりません。これは永遠の課題でしょう。そのあたりを参加企業のみなさんはどのように考えているのでしょうか?

A1: 当社では数を追っている。まだ開設して1年目なので、まずはユーザーを増やすことに注力したいと思っていた。もちろん、質の部分をないがしろにしていると、サイト内の雰囲気が悪くなる。せっかくファンになってくれた人たちにも悪影響が出てくる、とは思っている。キャンペーンを打ち続ければ、ユーザー数は増えていくと思っているが、しっかり質のいいファンを集める意識は重要です。

A2: 当社のコミュニティサイトはいい言い方をすれば「純粋なファンサイト」になっている。もちろん、商品の購入もして欲しい気持ちはあるか、その色をなるべく出さない方針で運営をしている。だから、たとえばサンプル商品がもらえるキャンペーンに応募して、当たったユーザーが、実際にその後でも購入してくれたかどうかまで、追いかけたりはしていない。どちらかというと、サイトの中でどれだけアクションが活発にされているかに注目している。毎日アクセスするユーザーがどれぐらいいるかを見ている。新規のユーザーをただ増やすよりも、今いるユーザーの中の活性化に重点を置いて、運営を進めている。アクション数や、アクティブユーザーやユニークユーザーを増やしたいという方針が現在の指針になっている。とはいえ、やめるユーザーもいるので、新規ユーザーもどんどん増やしていって、全体的には増やしたい気持ちに変わりはない。ただあくまでも自然に増加していくように心がけている

A3: コミュニティサイトを立ち上げた時期は、当然ながら新規ユーザー数を大切にしていた。キャンペーンを積極的に打って、新しいユーザーの獲得に向けた施策をたくさん行ってきた。ただ、そういうキャンペーンには両刃の剣の面がある。アクションポイントをつけて、アクションを増やしてもらおうとすると、当社のファンというよりは、プレゼント目当てのユーザーが増えてしまう。コミュニティ内では、基本的に当社の商品やジャンルに関係したトークに限定していたが、コロナ禍になった際に「もうなんでもいいですよ、みなさんの普段の会話してください」と規制を緩めた。するといままでとは全然関係のないやりとりで盛り上がってしまい、当社のファンであるユーザーが不快に感じてしまった。やっぱり質も大切にしないといけないと実感した。リニューアル後には、インセンティブをかなり減らして、どちらかといえば質を重視している。

このように、コミュニティの開設初期は数を追っていてもコミュニティが成熟するにつれ、質を重視する傾向があることが分かりました。

参加者の声

今回の参加者から寄せられた感想の一部をご紹介いたします。
こちらで設定したテーマだけでなく、参加者の皆様からも活発な質問が飛び交いました。あっという間に過ぎていく時間が惜しいと思ってくださった方々が多く、嬉しい限りです。

「今日はすごく皆さんの意見が参考になりました。特に川柳の話とかは、ぜひ私も考えてみようと思いました。私の今後の課題のひとつとして、20~30代の会員の方を増やすためにどうしていこうかと考えています。またこういう機会がありましたら、ぜひ皆さんに、質問させて頂きたいと思います」
「全然違った視点でサイトを運営しておられるんだな、というのがよくわかりました。外側では、色々なところの会員になって、拝見しているんですけれど、それだけでは見えてこない部分が多いです。今日は皆さんがどんな思いで作られているのかについて、それぞれのお気持ちがわかって、参考になりました。今後とも宜しくお願い致します」
「コミュニティサイトを担当していらっしゃる方の生の声が聞けて、ほんとうに勉強になりました。疑問に思っていることが、皆さんと同じだったりとか、扱う商品やサービスは違うとはいえ、アプローチの仕方が似ていたりして、すごく学ばせて頂けたと思っています。定期的にこういった会に参加させて頂けるようでしたら、今後もう少し頑張って、みなさんに参考にして頂けそうなコンテンツとかも出せるようにしたいなと思っています、ありがとうございます」
「ありがとうございました。ファンサイトを検討する上で、質にするか量にするか、KPIをどうするかについて悩んでいたので、そういったお話を聞けて、大変助かりました。次回、もしも実施する場合は、運用担当者として、色々お話ができればなと思います、よろしくお願いします」

主催者後記 -オフサイトミーティング#4の振り返り-

今回ご参加いただいた企業様もコミュニティサイトの運営を始めた時期はさまざまでした。でも、多様化し、変化し続けるユーザーに対して、どんなアプローチをすればいいのかと抱える問題は共通しています。ふだんはなかなか交流のない同じ立場の人たちと話すことで、共感し、解決のヒントを得るなどとても有意義な時間をお過ごしだったと思います。
イーライフでは今後も、今回のような会をはじめ、様々な企画や情報発信を行ってまいります。
他企業様とディスカッションしてみたいテーマのご希望などがあれば、お気軽に担当者へお声がけください!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

■関連情報 参加企業プロジェクト一覧
おべんとhome(味の素冷凍食品株式会社)
コープデリシェ(コープデリ生活協同組合連合会)
こだわり酒場ファン倶楽部(サントリースピリッツ株式会社)
みんなの眠ラボ(西川株式会社)
ココロートPark(ロート製薬株式会社)

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