ファンコミュニティ運用担当者のナレッジ共有を目的とした「オフサイトミーティング#1」を開催
2021年4月22日、ファンコミュニティサイト運営におけるいくつかの課題をテーマに、7社8名の企業コミュニティ運営ご担当者様をお招きした「オフサイトミーティング#1」をオンライン開催いたしました。
開催の経緯
イーライフでは多くの企業コミュニティを企画立案・運営サポートしていますが、特にこの数年、「ファンマーケティングとしてのコミュニティサイト」への注目度が高まり、関連するご相談も増えています。実際に運営に携わる企業担当者は日々、様々な施策を通して試行錯誤しながら自社のファンと向き合われています。
「Webサイトは生き物」とはよく耳にしますが、コミュニティサイトの場合は特に、ファンの育成や双方向コミュケーションを目指す場であるが故に、様々な課題が生まれます。実は意外にも、運営経験や業界の違いに関わらず、共通したお悩みになることもしばしばのようです。
「他企業ではどのように運営しているのか?」
「今のKPIでいいのか?他案件も参考にしたい」
「目新しい施策や、他企業コラボに挑戦したい」
今回、こうした企業担当者からのお声もあって、ざっくばらんなナレッジ共有・ディスカッション会としての「オフサイトミーティング#1」が実現しました。ご参加意向をいただいた方に事前ヒアリングした質問や関心の高いテーマを元に進行いたしましたが、結果的には、予定していた1時間半では足りないほど濃いディスカッションが交わされました。
今回は少しでも同じ立場・課題をもつ方々の参考になるように、当日の様子と内容をかいつまんでお届けします。
【参加企業一覧】 コープデリ生活協同組合連合会様、タイガー魔法瓶株式会社様、西川株式会社様、日本航空株式会社様、マルハニチロ株式会社様、三菱地所プロパティマネジメント株式会社様、森永製菓株式会社様 ※50音順、以下文中は敬称略 (当日はできる限り闊達な議論ができるように人数制限を設けた抽選制とさせていただきました。多くの参加希望を頂戴したなか、当日は上記7社から8名の企業担当者に参加いただきました) |
Theme1 – ファンコミュニティ運営におけるKPI設計
施策やプロジェクトには正しくKGI・KPIを設定することが求められますが、ファンコミュニティ運営においては特に、目標設定・効果測定・社内報告などに企業担当者のお悩みが多いことがわかりました。以下に、具体的なやりとりの一部をご紹介します。
Q: コミュニティで追うべきKPIとは?
A1: 最近は一貫して「NPS(ネットプロモーターズスコア)*1」を最重要指標にしている。何年か運営する過程で、コミュニティ参加者がより多く商品を購入したり人に薦める傾向にあることがわかったことが理由。*1 NPS(ネットプロモーターズスコア)とは、消費者自身がそのブランドを好きになってくれて、推奨してくれるという指標です。
A2: 熱量の高いファンからの波及を狙っているので、ロイヤルティ≒活動の濃さと捉え、「アクション数(投稿やコメントなど)」に主軸を置いている。
A3: 立ち上げたばかりのため、まずは会員数などを置いていた。意外にもすぐ達成してしまったため、今後の展開をまさに検討しているところ。
A4: 立ち上げて1年目で、コアなファンが集まりだしている印象。今後はよりライトなファンへの展開が課題。
ディスカッションの結果、業界やプロジェクトの目的による違いはあれど、「コミュニティはユーザーと共に成長するもの。ゴールさえ一貫していれば、KPIも同様に変化して良い」という結論に至りました。
Theme2 – オンラインコミュニケーションのコツ – ファンとのベストな距離感とは?
ファンと共に作り、成長させていくコミュニティサイトでは、ユーザーのロイヤリティを上げていくことが特に大切です。その軸とも言えるのが、「ユーザーとのコミュニケーション」ではないでしょうか。ここでも、社員自ら顔出しでコンテンツに登場されるという方から、まだ良い距離感がつかめずにいるという方など、実際の運営経験からの声が多く聞かれました。
Q: コミュニティ運営側の「中の人」として、どんな距離感で活動をされているのか?
A1: オンラインイベントや普段の投稿など、徹底して顔出しをしている。イベントで知った顔があることで喜んでもらえたり、親近感が増すのを感じる。
A2: 社内他部署から専門職の人にコミュニティへ登場してもらってコメント返信をするなど、自社らしさを出すことを模索している。
また、特に印象的だったのは、「私たちが運営しているのはファンの皆さまのための場所。すでに好意を持っている方も多く、直接のコミュニケーションを怖がる必要はないのかなと最近感じている」と語られたご担当者様です。
とはいえ、まだファンメイキングを始めたばかりの企業様にとっては、全てがゼロベースということも。
コアファンとのコミュニケーションに成功している企業様への質問と回答もご紹介いたします。
Q: 各種施策や、通常の活動を盛り上げるためにどんな工夫をしているのか?
A: リアルよりも発言が難しくなりがちなオンラインイベントなどでは、少人数で部屋に分けて必ず社員が入るようにしたり、チャットでもコミュニケーションできるような配慮をしている。また、興味関心に応じたイベントを都度企画することで、マンネリ化を防ぐようにしている。
今回のディスカッションでは、普段から顧客との接点がある企業も、そうでない企業も、一歩踏み出してコミュニケーションをしてみることで得られる貴重な発見があることがわかりました。
Theme3 – 特に最大の難関になることも?社内認知&理解を得るには
コミュニティサイトを運営される立場の皆さまから多く聞かれるお悩みのベスト3には入ると思われるのが、「社内の認知と理解」です。組織形態や体制など様々な理由から、他の部署が全くコミュニティサイトを知らない、活用できないということは、よくあることのようです。本セッションではそんなセンシティブな事情についての議論も活発に行われました。
Q: 社内認知のためにどんなことをしているのか?
A1: 全部署向けに説明会を行い、根気強く周知に努めた。
A2: 社員の目に触れるところに紹介ペラを掲示するなどしているが、まだまだ周知はしきれていない。
A3: 新人教育にサイトの紹介を加えるなど、顧客と接点のある現場まで浸透するよう試行錯誤中。
A4: 実際に他部署をモニター施策やアンケート施策に巻き込んだことで、顧客の有益な声が取得できると社内口コミで広がった。
A5: オンラインイベントなどにサポーターとして参加してもらうことで、理解が高まった。今後更に認知を広げられるようにしたい。
この1年は、コロナ禍で企業のデジタル施策そのものの立ち位置が大きく変化した時期でもありましたが、逆に顧客とのコミュニケーションをオンラインでより手軽に実施する機会も創出されました。今回ご参加の方の中には、始めたばかりのデジタルプロジェクトが社内表彰され、一気に注目度が高まったという事例もありました。
このテーマでは特に、全く異なる業態の参加者にも関わらず、互いに共感するポイントが数多くあったというのが、新鮮な驚きでした。部署や役職に限らず、広く社内を巻き込んでいくことが、コミュニティサイトをはじめとしたオウンドプラットフォームを、企業の資産として最大限活用する近道になるのかもしれません。
参加者の声
今回の参加者から寄せられた感想の一部をご紹介いたします。イーライフとしても、業務でお忙しい中でご参加いただいたからには、少しでも何かを持ち帰っていただけたら…と願っていましたので、とても嬉しいお声の数々でした。
「KPIは悩みの種だったので、各社の考え方や取組が聞けてとても良かった」
「具体的な事例を聞くことができてあっという間の1時間半だった」
「業界は違うのにKPIや社内周知など共通する悩みが多くて、参考になった」
「リアルな意見やアドバイスに刺激を受けました。次回はもっと少人数で深く議論したい」
「今日参加して、色々と考えていた迷いがなくなった。また別のテーマでもぜひディスカッションしたい」
主催者後記 – オフサイトミーティング#1 の振り返り
はじめての取り組みだったオフサイトミーティングですが、予想以上に熱量の高い声が次々と交わされ、明日からでも活かせるヒントが得られた時間でした。なんと、一部すでにコラボ施策を企画中という企業もあるようです。また、1時間半では足りなかった、同じメンバーでぜひ第二回目を、というお声もいただき、早速調整中です。
イーライフは今後も、今回のような会をはじめ、様々な企画や情報発信を行ってまいります。
他企業様とディスカッションしてみたいテーマのご希望などがあれば、お気軽に担当者へお声がけください!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
■関連情報 参加企業プロジェクト一覧
コープ・デリシェ(コープデリ生活協同組合連合会)
タイガーボトル・Tiger Forest (タイガー魔法瓶株式会社)
みんなの眠ラボ(西川株式会社)
trico(日本航空株式会社)
Oishiine!!(おいしいね!!)(マルハニチロ株式会社)
丸の内15丁目PROJECT. (三菱地所プロパティマネジメント株式会社)
エンゼルプラス(森永製菓株式会社)
※2021年10月18日 画像を一部修正致しました